
がんばれない日の“湯船の5分”。寒い季節にできるセルフケア
冬って、どうしてこんなに気力が抜けやすいのでしょう。帰ってきたら部屋は散らかっているし、洗いものを見るだけでため息が出る。「今日はもう無理」と思う夜、誰にでもありますよね。そんな日にこそ、湯船に“5分だけ”浸かる時間が効きます。長風呂じゃなくていいし、特別な準備もいりません。肩まで沈んで深呼吸をひとつ。湯気が顔にあたるだけで、張りつめていた気持ちがすっとゆるむ。がんばれない日の立て直しに、たった5分のお湯が思った以上に力をくれます。
湯船につかると、気持ちがゆるむ

冬になると、体の疲れよりも先に心がぐっと重たくなる瞬間があります。外の冷たい空気に触れた途端に肩がぎゅっと上がって、そのまま一日を過ごしてしまう。帰宅してドアを閉めた瞬間、張りつめていたものが全部どっと落ちてきて、動けなくなる日もあります。
部屋に入って視界に入るのは、畳めていない洗濯物、出しっぱなしのマグカップ、床に置き去りになった靴下。どれも大したことじゃないけれど、「今日もできなかったな」と落ち込む材料に変わってしまう。冬の散らかりって、ただの生活の痕跡なのに、不思議と自分を責める材料になりやすいんですよね。
そんな夜、わたしは湯船に肩まで沈んでみることにしています。
ただ湯気を吸って、目を閉じて、少しだけ呼吸を長くする…。
ひと息つくだけでいい。お風呂は「整える場所」じゃなくていい
わたしは湯船に浸かる前に、必ずふーっと息を吐く癖があります。扉の外で深呼吸をすると、そこで一度スイッチが切れる感じがして、「よし、入ろう」と思えるからです。冬の夜、玄関を開けた瞬間からずっと張っていた気持ちが、その一呼吸で少しだけ落ち着く。そんな“小さな合図”みたいな習慣です。
すると、浅くなっていた呼吸がゆっくり深くなり、胸のつかえが少しだけ下りる感覚が生まれます。湯気がふわっと視界を曇らせてくれると、部屋の散らかりも、今日つまずいた出来事も、いったん脇に置ける。
長風呂を目指す必要もありません。むしろ、“がんばらない入浴”のほうが続きます。冬のお風呂は「整うため」ではなく「ひと息つくため」の場所。お湯の重さに身を預けると、張っていた心がじんわり戻ってくる。そんな小さな変化が、冬を乗り切るうえで意外と大きいんです。
5分だけのバスタイムでも、ちゃんと効く

「お風呂に入るならちゃんと入らなきゃ」
この考え方が、冬の夜を余計しんどくしていることがあります。湯船をためるのさえ面倒で、気づけばシャワーすら浴びずに寝落ちしてしまう日もある。それを「だめな日」と思ってしまうと、さらに入浴のハードルが上がってしまいます。
でも、5分でいいんです。わたしの5分は、本当に5分。
お湯にお気に入りのバスソルトを入れ、体を沈めたら目を閉じて、指先がじんわり温かくなるのを待つ。それだけ。
途中でスマホを見ることもないし、特別なケアをするわけでもない。“何もしない”と決めて入ると、5分でも驚くほど気分が変わります。
肩まで浸かったら、あとは深呼吸をひとつ。体温が少し上がるだけで、固まっていた筋肉がゆるみ、気持ちも自然とやわらぎます。
「続けなきゃ」を手放すと、湯船はもっとやさしくなる
「今日は入れた」という事実そのものが、冬の自分を支えてくれる。それが続くと、「昨日より今日」「今日より明日」と、少しずつ“復活の幅”が大きくなる。セルフケアって、実はそういう積み重ねが大切だと思うのです。
とにかく疲れが溜まりやすい冬。日照時間が短くなって気分が落ち込みやすかったり、寒さで体がこわばりやすかったり、理由はいろいろ。そんなときに頑張りすぎたり決め事を作ってしまうと、気持ちまで沈んでしう。だからこそ、セルフケアに“継続”を求めないほうがいい。
大切なのは、「できたときだけやればいい」という軽さです。その軽さが、湯船を“入れる日”の確率を自然と上げてくれる。5分のお湯は私にとって、冬をゆっくり前に進めるためのちょうどいい時間なのです。
家事が回らない日は、先にあたたまる
冬の家事が進まないのは、わたしの性格の問題じゃありません(多分)。乾かない洗濯物、冷たいシンク、やたら増える洗い物。冬の家事はひとつひとつの工程が重く感じられます。
そんな日こそ、わたしは片付けよりも先に湯船に入ります。
片づけようとしても、気力がついてこない日は無理に動かない。先に体を温めると、「洗い物は3つだけやろう」みたいな小さな区切りが自然に生まれるんです。これは“サボり”じゃなくて、わたしの中では“回復の順番を変える”というだけ。
そして不思議なことに、あたたまったあとだと、同じ量の家事でも体感がまったく違う。湯船に浸かる前は“山”に見えていたことが、入ったあとは“小さな丘”くらいに感じられる。これは気のせいじゃなく、体温が上がることで血流や気分が持ち直すから。
片づけは逃げない。シンクも洗濯物も、明日の朝やってもまったく構わない。
わたしにとって冬の夜の“あたたまる”という行為は、自分に甘えることじゃなくて、家事をきちんと回すための準備です。
湯船の中で行う“小さな儀式”

湯船に浸かる時間は短くても、ほんの少しの行動で「整う感覚」がぐっと強まります。大げさなことではなくていい。たとえば、このくらいのこと。わたしのバスタイムの小さな“儀式”を紹介します。
深呼吸をゆっくり3回
呼吸が整うと、心拍も落ち着き、気分が自然にやわらぎます。
脱衣所の灯りを少し落とす
明るすぎる光は緊張を生みます。灯りを弱くすると、一気に“夜のスイッチ”に切り替わります。
好きな香りをタオルに1滴

アロマオイルでも、柔軟剤の香りでもいい。湯気と混じると、ほっとする瞬間が生まれる。
目を閉じて湯の音だけを聞く
湯の揺れる音や生活音の遠さが、“今ここ”に集中させてくれる。
ここで大事なのは、全部やろうとしないこと。「今日はこれにしようかな」と、選ぶ程度の緩さが、儀式を“ご褒美の5分”に変えてくれます。
がんばれない夜に、お湯ができること
こんなふうに、わたしは“できた日だけ”この5分を取り入れています。無理な日はしない。できる日はやる。それだけのゆるい決まりごとが、冬をなんとか回してくれるんだと思います。
湯船の5分は、がんばれない夜の立て直しにぴったりの時間です。肩まで沈んで深呼吸をひとつするだけで、冷えていた体も気持ちもすっとやわらぎます。
長くなくていいし、毎日できなくてもいい。冬は、少しでも温まったらそれがもう“今日を乗り越えた証”。最近は「風呂キャンセル」という言葉をよく見かけますが、入れない日があって当たり前です。疲れた日、寒すぎる日、どうしても動けない日。それは“だめな日”じゃなく、ただの“冬の日”。
できた日はそれで充分だし、できなかった日は普通。それくらいゆるい距離感で、お風呂と付き合っていい。寒い季節は、お湯のあたたかさにちょっと助けてもらいながら過ごす。それだけで、冬の寒さが少しやさしく感じられるかもしれません。
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