
海外旅行保険はケチらない。失敗から学んだ私のリアルな選び方
飛行機は平気で遅れるし、スーツケースは空港で迷子になる。旅行なんて、ドラマみたいなトラブルの連続です。そんなとき「保険入っててよかった」と思えるか、「なぜケチったんだ」と後悔するか。答えは、紙切れ一枚にあります。クレジットカード付帯の保険の限界から、補償内容の見極め方、そして旅の現場で本当に役立ったエピソードまで。大人の一人旅で“ケチらない理由”をお届けします。
目次
海外旅行保険はいらない。そう思っていた頃の私

旅行の計画を立てていると、つい削りたくなるのが保険代です。数千円~数万円を節約できるなら、その分をレストランやショッピングに回したくなります。私もそう考えていました。
「保険なんてムダ」とケチった失敗談
初めてのヨーロッパ旅行で、私は自信満々に保険を削りました。数千円もあれば現地でワインとチーズが買えるし、なにより「私に限って大きなトラブルなんて起こらない」と思っていたのです。そう、あの頃の私はまだ若く、そしてバカでした。
ところが、空港で「機材トラブルのため欠航です」とアナウンスが流れた瞬間、私はワインとチーズどころか床と蛍光灯を手に入れることになりました。ベンチはベッド、バックパック抱き枕。掃除のおじさんが押す掃除機の音とスポットライトかのように私を照らし続ける蛍光灯のおかげで、まったく眠れませんでした。
翌朝、同じ欠航仲間が「保険でホテル代が出たから快適だったよ」と笑顔で戻ってきました。彼らは羽毛布団に包まれ、熱いシャワーを浴び、クロワッサンを食べてから空港に来たのです。売店で買ったパサパサのサンドイッチをかじりながら私は思いました。
「クロワッサンはバターの香り。サンドイッチは掃除機の音。どちらを選ぶかは、保険次第」と。
遅延も病気も盗難も、ガイドブックには載っていない
観光名所やグルメ情報は丁寧にガイドブックに載っていますが、現地で腹痛で病院に駆け込むことや、到着ロビーでスーツケースが出てこないことは書かれていません。実際に起きれば旅行記ではなく、出費の記録になります。つまり、「起きるかもしれない」と想定しておくことが、旅を楽しむためのいちばん現実的な準備です。
自己負担できる?リアルに想像して震える医療費
もし、海外で病気やケガに見舞われたとしても、「最悪、自分で払えばいい」と思っていました。風邪で薬をもらうくらいなら数千円で済むだろうと。ところが、もし救急車で搬送され、検査や入院になり、通訳を頼み、急きょ帰国便を変更するとなれば…。金額はあっという間に跳ね上がります。
実際、知人は旅先で急な手術を受け、請求額は数百万円に達しました。退院後に「お土産話にはなったよ」と本人は笑っていましたが、その笑顔は保険金が下りたからこそ。もし自腹だったら、笑顔どころか帰国後の旅行写真は全部「高額請求の思い出アルバム」になっていたかもしれません。
クレジットカード付帯保険の落とし穴

海外旅行に欠かせないクレジットカード。「カードに保険がついているから、わざわざ海外旅行保険に入る必要はない」と思っていませんか?実は私もそう考えていました。けれど、カードに保険が「付いている」ことと、「十分に足りる」ことはまったく別の話です。その違いに気づいたのは、実際にトラブルに直面したときでした。
自動付帯と利用付帯のちがいで大混乱
「自動付帯だから安心」と思い込んでいましたが、実際は利用付帯のカードだったことがあります。航空券やツアー代をそのカードで支払っていないと補償が発動しません。現地でスーツケースの破損に遭い、連絡したところ「対象外です」と静かに告げられたとき、破損したのはスーツケースだけではなく、旅のプランであることを思い知らされました。
「食事は出るけどホテル代は出ません」事件
遅延補償の文言を信じていましたが、実際の対象は食事代のみ。真夜中の空港でバウチャーと引き換えたハンバーガーを食べながら、保険でホテルに向かう人の背中を見送りました。ベンチは硬く、夜は長く、差は紙一枚だと思い知らされた、空港での夜明かし。
補償額の現実—アメリカの病院で笑えない桁数
「上限◯◯万円」と書かれた安心感は、請求書の前であっさり崩れます。入院費・手術費・薬剤費・通訳・救援者の渡航費…。上限は“天井”ではなく“すぐ手が届く“低い梁”だと学びました。
海外旅行保険、何を基準に選ぶ?安心のために押さえたいこと

「付帯では足りないことがある」とわかったら、次は“何を基準に選ぶか”です。私が実際に見る順番で整理します。
医療費・救急搬送は“絶対にケチらない”補償
海外医療は高額です。外来で済めば幸運ですが、救急搬送や入院が絡むと桁が跳ねます。救援者費用(家族の渡航・看護)や緊急帰国まで含むか、キャッシュレス提携医療機関があるかを確認します。数字(上限額)だけでなく項目の幅を見るのがコツです。
飛行機遅延・乗継トラブル—床かベッドかの分かれ道
出発遅延/乗継遅延/欠航で条件が異なります。対象となる遅延時間(例:○時間以上)、カバー範囲(食事・宿泊・移動)をセットでチェックします。遅延は連鎖しがちなので、「宿泊が出るか」を重視します。
携行品の盗難・紛失ースマホ泥棒に泣かされた日
スマホ・カメラ・PCは今や思い出と生活の本体です。携行品は「一品あたりの上限」「合計の上限」「自己負担(免責)」の3点を見ます。バルセロナの市場でスマホをすられたとき、残ったのは食べかけのパエリアと、何も映らない自撮り棒でした。補償があれば「手続きの面倒」で済み、なければ「旅程の崩壊」になります。Police Report(盗難届)の取り方も事前にメモしておくと安心です。
旅行スタイル別オプション—スキー・ダイビング・長期滞在
スキー/スノボ/ダイビングなどは対象外の場合ありです。保険会社ごとの「危険な運動」の定義が違うので、該当オプションを追加します。長期滞在は疾病・携行品・賠償責任を厚めに、可能なら自己負担ゼロ特約も検討しましょう。
海外旅行保険会社と評判(比較表)
ここまでで「何を重視すべきか」は見えてきたと思います。では実際に、ネットで評判のある主要な海外旅行保険会社を表で整理してみましょう。
保険会社/商品名 | 評判の良い点 | 注意点・弱み |
損保ジャパン「off!(オフ)」 | ネット割引が大きい/補償バランスが良い/利用者数が多く安心感あり | 短期旅行向けが中心で長期だと割高感あり |
三井住友海上「ネットde保険@とらべる」 | 補償内容が手厚い/サポート体制の信頼度が高い | 保険料はやや高め |
エイチ・エス損保「たびとも」 | 保険料が安い/シンプル設計 | 医療・救援費用の上限が低め |
ジェイアイ傷害火災「t@biho」 | カスタマイズ性が高い/若年層に人気 | 選択肢が多くわかりづらい |
東京海上日動「MARINE PASSPORT」 | 老舗の安心感/医療系補償に強い/サポートが手厚い | 保険料はやや高め |
SBI損保「海外旅行保険」 | ネット専用でコスパ良好/必要十分な補償 | サポート拠点が少なめとの声 |
客観まとめ
サポート重視:三井住友や東京海上
バランス重視:損保ジャパン
カスタマイズ派:ジェイアイ(t@biho)
それぞれ強みと弱みがあるので、自分の旅に必要な補償に照らして選びましょう。
海外旅行保険会社・プランの選び方

比較表を踏まえたうえで、さらに確認したいポイントです。
海外旅行保険は、金額よりも中身で
「安さ」より「足りるかどうか」。医療・救援・遅延・携行品・賠償責任の5つを基準に比較しましょう。
24時間日本語サポートがあるかどうか
夜中でも時差でもつながる窓口が命綱です。電話・チャット・アプリの複数窓口がある会社が安心。
アプリやオンライン手続きのしやすさ
加入証のデジタル提示や、レシート写真のアップロード請求が可能かどうか。現場で紙を探す余裕はありません。
旅のスタイル別おすすめ(短期旅行/長期滞在/アクティビティ系)
長期(1か月~):疾病・携行品・賠償を底上げ、自己負担ゼロ特約があれば検討。
アクティビティ:種目の対象可否を必ず確認し、専用オプションを追加。
都市間移動が多い旅:乗継遅延の条件を優先チェック。
海外旅行保険をケチらないことが旅を守る
旅は予定表ではなく、現場で進みます。だからこそ転んだあとに立ち上がる準備を、出発前に前払いするのが保険です。料金の安さに飛びつきたくなる気持ちはわかります。でも、補償が足りなければ安心は買えません。医療・救援・遅延・携行品・賠償責任、まずはこの中身を満たすこと。そのうえで価格を比べるのが正しい順番です。
出発前にしておく準備(現場で効く小さな工夫)
・パスポート・搭乗券・レシートは写真で即保存
・盗難に備えて最寄りの警察署の場所を地図アプリで事前保存
・保険会社の連絡先を共有しておく。複数人なら同行者と、ひとり旅なら家族や友人に伝えておく
リアルに助かった!「保険に入っててよかった」エピソード

保険のありがたみは、書類の文字じゃなく、冷え切った夜や、思いもよらない請求書の前でやってきます。あのとき紙切れ一枚がなかったらと思うと、今でも背筋がすっとします。
飛行機が飛ばなかった夜、ホテルのベッドで眠れた
欠航で振替は翌日。カウンターで保険番号を伝えると、空港近くのホテルと送迎が手配されました。熱いシャワーが空港の冷気をほどき、白いシーツに体が沈みました。翌朝のクロワッサンは、粉とバターの香りだけで「世界はまだ優しい」と思わせてくれました。
スーツケース紛失と“部屋着で参列しかけた私”を救った補償
友人の結婚式前日、スーツケースが届きません。ドレスも靴も、アクセサリーも、すべてはどこかをさまよっていました。補償で衣類・靴・基礎化粧品を上限内で現地調達でき、なんとか体面を保って参列。もしなければ、ホテルの部屋で着ていたようなラフすぎる服装のまま、参列者の記憶に刻まれていたでしょう。
病院で現金を求められた瞬間、保険証書が魔法になった
高熱で受診すると、会計で「現金のみ」と言われました。目の前の数字は十万円超。手が震えましたが、保険証書の番号を伝えた瞬間、キャッシュレス対応に切り替わりました。診断書やレシートの扱い方まで案内が届き、帰りのタクシーの座席がようやく柔らかく感じられました。
万が一のトラブルも、お土産話にしてくれるのが保険

空港の蛍光灯の下で眠れなかった夜も、スーツケースが行方不明になった朝も、結局はパンの味や海の色に塗り替えられていきます。トラブルは思い出の隅っこに追いやられる。でも、その隅っこを守ってくれるのが保険です。
だから私は出発前に、一度立ち止まって考えます。財布は泣いてもいいけれど、思い出まで泣かせたくはないから。
あなたも、旅に出る前に、ちょっとだけ保険のことを考えてみてくださいね。
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