
スコットランドを走る。おとなの一人旅ロードトリップ実践編
前回の「海外で運転するなんて無理、と思っていた私へ。おとなの一人旅ドライブ入門」では、国際運転免許証の取り方やレンタカーの借り方、海外で運転するときの基本的なコツを紹介しました。今回は、その実践編です。スコットランドでレンタカーを借りて、ハイランドを巡るロードトリップ。グラスゴーから北へ向かい、インヴァネスやエジンバラに立ち寄りながら、ぐるっと一周するルートです。スコットランドは右ハンドル・左側通行で、日本と同じ感覚で走りやすいのが魅力。この記事では、スコットランドで実際にロードトリップをして感じたことを、ルートや見どころ、運転のポイントとあわせて紹介します。
目次
スコットランドが“初海外ドライブ向き”な理由

理由はひとつです。日本と同じだから。
右ハンドル、左側通行。
これだけで、安心感が半分くらい確保されます。海外ドライブの不安の半分は、「いつもと違う」こと。つまりスコットランドは、“違いが半分で済む国”です。この差は大きい。かなり大きい。
今回のルートと、現実的な行き方

今回のルートはこちらです。
グラスゴー → グレンコー → フォートウィリアム → インヴァネス → エジンバラ → グラスゴー
距離はだいたい600~800km。3~5日あれば、無理なく回れます。私はのんびりドライブを楽しみたかったので、あえて一般道をチョイス。フォートウィリアムとインヴァネス、エジンバラ、グラスゴーに宿を取りました。ここまで刻む必要はありませんが、その分、余裕を持って旅を楽しむことができました。
日本からスコットランへの行き方

日本からスコットランドへの直行便はありません(2026年4月現在)。
・ヨーロッパ経由 → 乗り継ぎ
このどちらかになります。私は、わざわざ遠回りしました
シンガポール経由でロンドンへ。日程的にはロンドンで数日過ごしてから、スコットランドというルートです。しかも、スコットランドへは飛行機ではなく、寝台列車Caledonian Sleeper(カレドニアン・スリーパー)で向かいました。
夜に乗って、寝て、起きたらスコットランド。説明としてはこれだけなんですが、体験としてはもう少しややこしい。現実なのに、ちょっと演出が入っています。脳内にアガサ・クリスティが現れます。
合理性はゼロです。満足度は高い。この話は長くなるので、別でちゃんと書きます。書かせてください。
4月のスコットランドは「春、来る気ある?」という気温

私が訪れたのは4月上旬。暦の上では春です。でも、体感は「まだ迷ってるな、この季節」です。
寒いです。普通に寒い。
アウターは必須。風は容赦なし。油断すると、あっさり負けます。私は一度、軽い気持ちで薄着で出て、すぐに戻りました。こういう判断ミスは、引きずらないことが大切です。
天気は落ち着かない。でも、それがちょうどいい
曇り、雨、晴れ。
スコットランドではこれがローテーションで来ます。休憩なしで来ます。最初は「落ち着いてほしい」と思うのですが、だんだん慣れてきます。むしろ、「次は何が来るのか」と待つようになります。人間、順応します。
今回の滞在では、大雨には当たりませんでした。小雨→やむ→晴れる、の繰り返し。この“ちょっと気まぐれな優しさ”、嫌いじゃないです。
スコットランド・ハイランド地方とは?

スコットランドの地図を見ると、「ハイランド」という言葉が出てきます。ざっくり言うと、スコットランド北部から西部に広がる山岳地帯一帯のことです。
・氷河が削った谷
・湖(ロッホ)
・森と湿地
人の気配はあるのに、密度が低い。自然が主役で、人はちょっとお邪魔しているくらいのバランスです。いわゆる“絶景スポット”というより、エリア全体がずっと景色、という感覚に近いです。「ここが見どころです」と区切られるものではなく、むしろ「走っている間ずっと見どころ」という、少し反則気味の場所です。
グラスゴーを出た瞬間、景色のスイッチが入る

グラスゴー駅の近くでレンタカーを借りて、街を出る。最初は少し緊張します。でも10分もすれば、「あ、いける」と思い始めます。なんてたって日本と同じ右ハンドル、そして右側通行。ラッキーなことにレンタカーがマイカーと同じ車種だったこともあり、操作もお手のもの。愛車を運転している気分になりました。
そして街が終わる。
その瞬間、風景の密度が変わります。
ハイランドは、走るだけで仕事をしてくる

緑。
雲。
羊。
そして、古城。
この4点セットが、延々と続きます。
しかも途中で飽きさせない。角度を変えて、光を変えて、ちゃんと仕掛けてきます。古城なんて、「ここにある必要ある?」という場所に、堂々と建っています。でも、似合っている。悔しいくらい似合っている。
寄り道が、本編を軽く追い越していく

道の途中で見つけた、ファーマーズマーケット。観光地ではありません。むしろ、観光地っぽさがないのがいい。
地元の農家さんが作る野菜とチーズとコーヒー。そこで頼んだラテ。搾りたてのミルクで作っていて、ちょっと意味がわからないくらいおいしい。

「え、これなに」と、ちゃんと声に出しました。
ハリーポッターのロケ地で、現実が少しズレる

途中で立ち寄ったのが、映画『ハリー・ポッター』シリーズのロケ地・グレンフィナン高架橋。ホグワーツ行きのあの列車が走る場所です。現地ではジャコバイト号(Jacobite Steam Train)として運行しています。
車を停めて、少し歩きます。軽いハイキングです。息が上がるか上がらないかの境界線。そして、高台に出る。
見えます。
あの橋。
あのカーブ。
あの「何かが始まりそうな感じ」。
しばらくすると蒸気の音が近づいてきます。
ゆっくり現れる列車。
「あ、映画のやつだ」ではなく、
「あ、ここで撮ったのか」と納得する瞬間。
映画が現実を再現したのではなく、現実が先に完成していた感じです。
あえて乗らないという選択
ジャコバイト号は乗車できます。でも私は、乗りませんでした。外から見たかったから。
乗ると体験になる。外から見ると風景のままでいてくれる。この違い、地味に大きいです。少し離れた場所から、列車が橋を渡るのを眺める時間。静かで、少しだけ現実がズレる感じ。ちょっと面倒な選択ですが、悪くないです。
インヴァネスで、人間に戻る

ハイランドの中を走り続けていると、だんだんと「人間ってこんなにいなくてもいいんだっけ?」という気持ちになります。そんなタイミングで現れるのが、インヴァネスです。
インヴァネスは、スコットランド北部の中心都市のひとつ。人口は約5~6万人ほどで、大都市ではありませんが、ハイランドの中ではしっかり“街”と呼べる規模です。
・レストラン、カフェ、パブが揃っている
・スーパーやドラッグストアもある
つまり、「ちゃんと補給できる場所」。ずっと自然の中を走ってきたあとに来ると、この“普通に暮らせる感じ”が、妙にありがたい。
何もない時間もいいけれど、少し人の気配に戻ると、また外に出たくなる。その切り替えをしてくれる場所でした。
ネッシー、いないと思っていたのに少しだけ裏切られる

インヴァネスに向かう途中、ネス湖に立ち寄りましました。ネス湖といえば、ネッシーです。
世界的に有名な未確認生物。正直に言うと、来る前は「まあ、いないでしょ」と思っていました。冷静な大人として。でも、ネス湖を目の前にすると、その冷静さが少しだけ揺らぎます。
湖は細長くて、とにかく大きい。そして深い。水の色も、なんとなく黒い。「何か隠してますよね?」と聞きたくなる感じ。
湖のほとりには、崩れかけた石造りの城——アーカート城の跡。観光地として整っているのに、どこか完成しきっていない雰囲気があって、「出るならここだな」と思わせてくます。
湖面をぼんやり見ていると、波が揺れます。風かもしれないし、違うかもしれない。こういうとき、人は急に想像力が豊かになります。
残念ながらこの日はネッシーには会えませんでした。
エジンバラで、「いかにもヨーロッパ」にちゃんと出会う

旅の起点となるグラスゴーにも街はありました。もちろんありました。でも、エジンバラは少し違います。いわゆる「これがヨーロッパです」と言われて、多くの人が思い浮かべる景色に、かなり正直に寄せてきます。
石造りの街並み。坂道。城。
ちょっと出来すぎなくらい、整っています。
エジンバラはスコットランドの首都ですが、規模はそこまで大きくありません。旧市街と新市街に分かれていて、
主な見どころは徒歩で回れる範囲に収まっています。
・ロイヤルマイル
・ホリールード宮殿
・カールトン・ヒル
坂道は多いですが、そのぶん視界が抜けます。歩いているだけで「ちょっといい景色」が差し込まれてくる感じです。
正直に言うと、ずっと自然だと少し飽きます。ハイランドのあとにエジンバラに入ると、この“人が作った景色”がちゃんと刺さります。建物が並んでいるだけで、ちょっと安心する。こういう感覚、自分でも意外でした。
ひとつ現実的な話を。
旧市街は道が狭く、観光客も多いです。運転は正直、気を使います。
なので、
・郊外に停めて公共交通機関を使う
・ホテルはアクセス重視で選ぶ
このあたりを意識すると、かなり楽になります。
スコットランドをドライブして、わかったこと

スコットランドをドライブした数日間は、特別なことをしているつもりだったのに、振り返ると、やっていることは案外シンプルでした。
車を借りて、走って、止まって、また走る。
ただそれだけなのに、見える景色が少しずつ変わっていくのが面白くて、気づけば予定よりも遠くまで来ていました。
ハイランドの道も、ネス湖も、エジンバラの街も、どれも“どこかにある場所”のはずなのに、自分でたどり着くと、少しだけ意味が変わります。行き方を知っている場所と、自分で行ける場所は、やっぱり違う。スコットランドのロードトリップは、その違いを、静かに教えてくれる時間でした。
次に地図を開いたとき、前より少しだけ、行ける場所が増えているかもしれません。
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