
クリーンビューティーとは、結局なに?肌にも地球にも無理をさせないコスメの選び方
「クリーンビューティー」という言葉を目にする機会が増えました。肌にも環境にもよさそう。でも、オーガニックやナチュラルコスメとは何が違うのでしょう。クリーンではない化粧品は、少々よごれているのでしょうか。言葉の意味から似た用語との違い、私たちが無理なく取り入れる方法、おすすめのブランドまで、いまさら聞きにくい疑問を整理します。
目次
クリーンビューティーに、世界共通の定義はない

クリーンビューティーとは、一般的に、配合成分の安全性や情報の透明性だけでなく、環境への負荷、動物福祉、製造に関わる人の労働環境などにも配慮しようとする、美容に対する考え方を指します。ただし、世界共通の明確な定義や、すべてのブランドが従う認証基準があるわけではありません。
何を「クリーン」と考えるかは、ブランドや販売店によって異なります。特定の成分を使わないことを重視するブランドもあれば、原料の調達方法、動物実験への方針、容器の再生素材や詰め替えまで含めてクリーンビューティーとするブランドもあります。
つまり、クリーンビューティーは、全員が同じ制服を着ている運動ではありません。成分、環境、動物、人権といった複数の価値観を、大きな傘の下に入れたようなものです。
言葉の印象だけで「肌によい」「環境によい」と判断せず、そのブランドが何を基準にクリーンと呼んでいるのかを見る必要があります。
ナチュラル、オーガニック、ヴィーガンとは何が違う?

美容の世界には、似ているようで少しずつ違う言葉がたくさんあります。こちらが一つ覚えたころには、また新しい横文字が増えている。肌の手入れをしたいだけなのに、なぜか語学力まで試されます。
ナチュラルコスメ
植物や鉱物など、自然由来の原料を取り入れた化粧品を指すのが一般的です。ただし、「ナチュラル」という言葉にも、世界共通の一律な定義があるわけではありません。自然由来の成分を一部使った製品から、配合成分の大部分を自然由来原料で構成した製品まで幅があります。
日本では、ISO 16128に基づいた「自然由来指数(※)」を表示する仕組みがありますが、表示は任意です。また、この指数は製品の安全性や品質そのものを保証するものではありません。
※参照:参照 :日本化粧品工業会JCIA「「ISO 16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示」について
オーガニックコスメ
オーガニック農法などで育てられた原料を使用する化粧品です。原料や配合割合、製造工程などについて、独自の基準を設ける認証機関もあります。国際的な認証の一つである「COSMOS」では、オーガニック・ナチュラル化粧品の原料や製造方法、持続可能性などに関する基準が定められています。
ただし、「オーガニック原料配合」と「製品全体がオーガニック認証を受けている」は同じではありません。パッケージの緑色が濃いからといって、オーガニック度まで濃いとは限らないのです。
ヴィーガンコスメ
動物由来の原料を使わずに作られた化粧品です。たとえば、はちみつやミツロウ、動物由来のコラーゲンなどを使用しないことが基準になります。
一方、「動物由来成分を使わないこと」と「動物実験を行わないこと」は、本来別の基準です。その両方を認証条件としているヴィーガン認証もありますが、商品ごとの表示や認証内容を確認する必要があります。
クルエルティフリー
製品や原料の開発過程で、動物実験を行わないという考え方です。動物実験をしていなくても、動物由来の原料を使用していれば、ヴィーガンコスメとは限りません。反対に、動物由来成分を使っていなくても、ブランドの動物実験に対する方針が明確でなければ、クルエルティフリーとは言い切れません。どれも、化粧品を選ぶための目印です。全部を満たさなければ不合格、という話ではありません。
「天然成分だから安全」とは限らない
クリーンビューティーを語るときに気をつけたいのが、「天然成分は肌にやさしく、合成成分は肌に悪い」という単純な分け方です。植物も、立派に人をかぶれさせます。自然界は、私たちの肌のためだけに存在しているわけではありません。
天然由来か合成かという原料の出自だけで、安全性が決まるわけではないとFDA(アメリカ食品医薬品局)も説明しています。オーガニックやナチュラルという表示が、そのまま安全性の保証になるわけではありません。
香料や精油を心地よく使える人もいれば、刺激を感じる人もいます。反対に、品質を安定させるための成分や防腐剤が入っているからこそ、適切な期間、品質を保ちやすい製品もあります。
「自然だから善、化学だから悪」と分ければ、話は簡単です。しかし、わかりやすさは、ときどき正しさを雑に踏みつぶします。見るべきなのは、天然か合成かという一文字の旗印ではなく、その製品が自分の肌に合うか、適切な安全性や品質管理のもとで作られているかです。
「○○フリー」が多いほど優秀なのか
パラベンフリー、アルコールフリー、シリコーンフリー、鉱物油フリー。化粧品売り場には、入っているものより、入っていないものを大きく書いた商品が並んでいます。避けたい成分が明確な人にとって、「○○フリー」は便利な情報です。しかし、特定の成分を使用していないことと、誰にとっても肌にやさしいことは同じではありません。
ある成分を抜けば、その役割を補うために別の成分が必要になる場合もあります。「入っていないもの」の数だけで製品を競わせると、最後には化粧品そのものが消えます。空の瓶はたしかに無添加ですが、保湿はしてくれません。
何を使っていないかだけではなく、なぜ使っていないのか。その代わりに、どのような処方や容器の工夫をしているのかまで見てみましょう。
クリーンビューティーは、容器の中だけの話ではない

クリーンビューティーというと、つい配合成分に目が向きます。しかし、考える対象は中身だけではありません。
たとえば、次のような取り組みもクリーンビューティーの一部です。
・詰め替え商品を用意する
・過剰な外箱や包装を減らす
・原料の産地や調達方法を公開する
・製造に関わる人の労働環境に配慮する
・使用済み容器を回収する
成分はクリーンでも、箱を開けるたびにまた箱が出てくる。マトリョーシカのような包装では、少し話が複雑になります。もちろん、品質を保つために必要な容器や包装もあります。瓶より軽いプラスチックのほうが、輸送時の負担を抑えられる場合もあるでしょう。「ガラス瓶なら環境にやさしい」と、素材一つだけで判断するのも早計です。
企業がなぜその素材を選び、使用後のことまでどう考えているか。背景まで具体的に説明しているブランドは、私たちに多くの判断材料を与えてくれます。
クリーンビューティーを選ぶ6つのポイント
クリーンビューティーを取り入れたいと思っても、化粧品売り場でいきなり思想を問われると困ります。こちらは乳液を買いに来ただけです。難しく考えすぎず、次の6つを目安に選びましょう。
1. 自分が大切にしたいことを決める
肌への刺激をできるだけ避けたいのか、動物由来成分を使いたくないのか、容器のごみを減らしたいのか。優先したいことを一つ決めると、商品を選びやすくなります。すべての条件を満たす一本を探そうとすると、洗面台の前で人生観まで問われます。まずは一つで十分です。
2. ブランド独自の基準を確認する
「クリーンビューティー」と書いてあるだけでなく、何を基準にしているのかを確認します。避けている成分、原料の調達方法、動物実験への方針、容器の素材や回収方法などを具体的に説明しているブランドなら、納得して選びやすいでしょう。
3. 全成分表示を見る
日本では、化粧品の全成分表示が義務づけられています。すべての成分名を暗記する必要はありません。過去に刺激を感じた成分や、アレルギーのある成分が入っていないかを確認するだけでも役立ちます。
わからない成分を見つけるたびに、悪者ではないかと疑う必要もありません。カタカナが長いことと、性格が悪いことは別です。
4. 第三者認証を判断材料にする
オーガニックやヴィーガンなどの第三者認証は、一定の基準を満たしているかを知る手がかりになります。
ただし、認証がないから粗悪品、認証があるから自分の肌に合う、ということではありません。認証の意味と対象を確認したうえで、判断材料の一つとして使いましょう。
5. 使い続けられる価格と使用感を選ぶ
どれほど立派な理念があっても、香りが苦手で使えない、値段が高くて続かないのであれば、暮らしには定着しません。ドラッグストアなどで手に入るもの、詰め替えのあるもの、少量から試せるものもあります。美容は毎日のことです。意識だけ高くして、財布が地面にめり込んでは続きません。
6. 肌に合わなければ使用をやめる
自然由来やオーガニックの製品でも、肌に合わないことはあります。使用中や使用後に赤み、はれ、かゆみ、刺激などが現れた場合は使用を中止し、症状によっては皮膚科専門医へ相談しましょう。理念に共感したからといって、肌まで我慢強く付き合う必要はありません。
クリーンビューティーを身近にする、おすすめブランド3選
クリーンビューティーに興味を持っても、最初から一本1万円の美容液を買う必要はありません。思想は立派でも、値札を見てこちらの意識が遠のいては続かないからです。
身近な店舗やオンラインショップで比較的購入しやすいブランドから、クリーンビューティーの考え方に触れてみましょう。なお、クリーンビューティーには統一された定義がありません。ここでは、それぞれ異なる取り組みを公表しているブランドを、選択肢として紹介します。
チャントアチャーム|国産オーガニックを試したい人に

自社農場で育てたハーブなどを取り入れた、国産オーガニックスキンケアブランドです。ISO 16128-1で定義された自然成分、自然由来成分、鉱物由来成分のみを使用し、自然由来成分100%の処方を掲げています。製品の安全性を確認するための動物実験も行っていません。
化粧水や乳液、クレンジングなど、いつものスキンケアに取り入れやすい商品がそろっています。高価になりがちなオーガニックコスメのなかでは、使い続けることまで考えられた価格帯も魅力です。
ただし、自然由来成分100%だから、すべての人の肌に合うとは限りません。植物成分や香りに敏感な人は、一品ずつ試しましょう。
THE PUBLIC ORGANIC|身近なヘアケアから始めたい人に

精油を取り入れたヘアケアやボディケアで知られる、日本発のブランドです。オーガニック認証機関の基準に倣った独自基準で商品を開発。詰め替え用や一日分のトライアルも用意されているため、構えずに試しやすいブランドです。ただし、「独自基準」であり、すべての商品が第三者のオーガニック認証を取得しているという意味ではありません。
とはいえ、生活を突然革命しなくても、シャンプーは替えられます。クリーンビューティーを身近な日用品から始めたい人に向いています。精油の香りが特徴なので、強い香りが苦手な人はトライアルサイズで確かめるのがおすすめです。
WELEDA(ヴェレダ)|認証を目印に選びたい人に

1921年にスイスで誕生した、ナチュラル・オーガニックコスメブランドです。国際的な第三者認証「NATRUE(ネイトゥルー)」の基準に基づいた製品を展開しています。フェイスケアだけでなく、ボディオイルやハンドクリームなども充実しています。顔に使う化粧品をいきなり替えるのが不安なら、ハンドクリームやボディケアから始めるのも一つの方法です。
植物オイルや精油を使用した商品が多いため、香りの好みや肌との相性は確認しましょう。認証マークは信頼できる判断材料ですが、自分の肌との相性まで保証してくれる魔法陣ではありません。
手持ちの化粧品を使い切ることから始めよう
クリーンビューティーに興味を持つと、洗面台に並んだ化粧品を見て、急に全部を買い替えたくなるかもしれません。でも、まだ使えるものを一斉に捨て、新しい「環境にやさしい商品」を大量に買う。それは少し、話がねじれています。
まずは手持ちの化粧品を、肌の状態と使用期限に気をつけながら最後まで使う。次に何かを買うとき、詰め替えのある商品を選ぶ。使い切れないほど試供品をもらわない。必要以上にストックしない。それも十分、クリーンビューティーです。
年齢を重ねると、肌は若いころほど新しいものに浮かれません。評判の美容液を投入した翌朝、奇跡より先に赤みが現れることもあります。だからこそ、いきなり化粧品を総入れ替えせず、一品ずつ試す。調子がよければ続ける。合わなければやめる。そのくらい現実的でいいのです。
クリーンビューティーとは、正解の化粧品を当てる試験ではありません。自分の肌と暮らし、そして商品が作られ、捨てられるまでの背景に、ほんの少し想像力を向けること。
次に買う一本を、少しだけ考えて選ぶ。きれいになることを、誰かや何かの無理の上に置かない。その小さな選択から、クリーンビューティーは始まります。
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