
紳士靴のフルメンテナンスをプロが実践!汚れ落としから鏡面磨きまでを解説
ビジネスマンの足元、意外と見られていますよね。きちんと磨かれた靴は、履いているだけでも気分が違います。日頃の靴磨きでは汚れがおちきれなかったり、磨いてもどこかくったりとしてきたら、プロの出番。今回は、ビジネスシューズの汚れ落としからピカピカに磨き上げる鏡面磨きまでの「フルメンテナンス」について、
靴磨き、修理、レザーケアの専門店「shoeshine Chum’s Bar(シューシャイン チャムズバー)」渡辺さんに教えてもらいました!
汚れ落としの流れ
2.革に水をふくませる
3.洗剤で洗う
4.乾かす
汚れを落とすための流れは、この通り。そして、プロが使う道具はこちら!

左から、馬毛ブラシ(1)、リムーバー&布(2)、洗剤(3)、ブラシ(4)、スポンジ(5)
表面の汚れを落とす
まずは紐を外し、馬毛ブラシを使って表面の埃や汚れを落とします。

次に、リムーバーをつけて古いクリームを落とします。

革に水をふくませる
たらいに水をためて、スポンジを使って革に水分をしみこませていきます。

洗剤で洗う
しっかりと水をふくませたら、スポンジに洗剤をつけて、円を描くようにクルクルと回しながら洗います。


細かな部分はブラシを使って丁寧に。

乾かす
洗い終わったら、スポンジで泡を流します。

洗剤に保湿成分が含まれているため、さっと泡をふき取るように流します。
表面の水分を拭き取ったら、風通しの良い日陰の場所でつま先が上になるように立てかけて乾かします。

これで汚れはスッキリと落ちました。
磨きの流れ
鏡面磨きとはその名の通り、鏡面のようにピカッと輝くツヤを出す技術です。前半は基本的な磨きを行い、その後鏡面磨きを行います。さっそく手順をみてみましょう。
2.クリームを塗って磨く
3.ワックスを塗る
4.ひたすら磨く!
5.水研ぎをする
6.ソールの仕上げ
プロこだわりの道具はこちら!

左から、コバインク(1)、馬毛ブラシ(2)、リムーバー&布・殺菌消臭スプレー(3)、クリーム(4)、豚毛ブラシ(5)、ワックス&布(6)、水(7)、ヤギ毛ブラシ(8)、ソール用オイル(9)
汚れ落とし&コバの手入れ
靴の内側に除菌スプレーをかけ、シューキーパーを入れてシワを伸ばし形を整えます。

馬毛ブラシで埃を払ったら、コバの手入れから始めます。コバとは本体とソールのつなぎ目の部分。ここの手入れをすることで、靴の印象は大きく変わります。
紙やすりを使ってコバを滑らかに整え、コバインクでインクを均等に入れておきます。


コバインクを乾かしている間に、リムーバーで汚れを落とします。

人差し指と中指に布を巻きリムーバーを使って、汚れと古いクリームを優しく落とします。リムーバーを使うと、上の画像のように靴の表面が白く曇ったような状態になります。
クリームを塗って磨く
汚れを落としたら、栄養補給。保湿と補色のため指でクリームを塗ります。指の体温で温めて塗ることで、よりクリームが浸透していきます。革の触感を確かめながら栄養を補給します。

コバはブラシを使って。

クリームを塗り終わったら、コシの強い豚毛ブラシを使ってブラッシングします。

革の奥にクリームを押し込むように力強く、素早くブラシをかけるのがコツです。そして、さらに布で磨くことで余計なクリームをとりのぞきます。こうすることで余計な汚れをつきにくくします。

クリームに蝋分が入っているので磨くことでツヤもでてきます。革本来のツヤが出てきましたね!

ここまでが基本のケア。充分に綺麗な仕上がりですが、今回はさらにピッカピカに磨き上げていきます!
ワックスを塗る
基本のケアが終わったら、ここから鏡面磨きの作業に入ります。鏡面磨きで光らせる箇所は、「つま先」「かかこ」「コバから1cm」の3つ。これらを光らせることで靴がふっくらと見えるので、足元のシルエットも綺麗に見せることができるのだそう。
ではワックスを塗っていきます。ここでも指を使って体温でワックスを溶かしながら塗ります。



ちなみにワックスがひび割れていますが、これはわざと乾燥させてこのようなドライな状態にしているのだとか。その方が、毛穴の部分まで塗り込めて平らな面を作りやすいのです。
初めから市販のドライワックスを使うと光りやすいので腕が鈍るので、プロはわざわざ通常のワックスを乾燥させて自家製ドライワックスにしてから使用しているそう。
こうして平らな面を作るように何度も薄くしっかりとワックスを塗り重ねていけば、基本の下地作りのできあがりです。
ひたすら磨く!
さて下地ができたら、今度は布に薄くワックスをつけながらひたすら磨く作業となります。

布にしわができないように布をピンと張って指に巻きつけることが大事なポイント。そして、このとき布にほんの少量の水をつけて磨いていきます。え?水?と思いますよね。

布は乾燥するとワックスの層を掻き壊すので水は滑りを良くするため、そしてツヤを出すための大事な役割があるのです。

そして、この水、ただの水ではないのです。実は、縁結びで有名な箱根神社の湧き水、龍神水なのです!「良い仕事とのご縁がありますように」という渡辺さんの願いが込められています。見えないところの細やかなこだわり、プロですね!
布に水、ワックスをつけて磨く、この作業を繰り返し行います。下地を壊さぬよう、優しく丁寧に、円を描くように磨きます。


このように何度も薄くワックスをつけながら磨き続けること15分ほど。ピカピカと光り輝いてきました!

磨きのやめどきは、靴に照明を当てたときにこのように照明のライトがくっきりと映るかどうかが目安。そうそう、コバにもツヤ出しと防水も兼ねてワックスを塗ることを忘れずに。

磨きの作業が終わったら、ヤギ毛ブラシで表面を優しくブラッシングし、よりツヤを出します。

ヤギの毛は保温性が高く摩擦の熱を保つので、ワックスの蝋分にその熱が伝わって、より平らになるのだそう。ブラシの使い分けもプロならではのこだわりです。
水研ぎをする
ブラッシングのあとは、水研ぎといって、水だけで磨く作業です。

布に少量の水を含ませて仕上げます。これまでは円を描くように磨いていましたが、最後はまっすぐ縦方向に磨くことで、ツルツルの仕上がりに。
ソールの仕上げ
最後に忘れてはいけないソール。ここにもオイルを足します。

ソールも革なので乾燥すると割れてしまいます。しなやかに保つためにもソール用オイルを使ってしっとりとオイルを塗ります。これで、フルメンテナンスは終了です!
フルメンテナンスを終えて
ビフォーアフターはこちら!左側がフルメンテナンス前、右側がフルメンテナンス後の状態です。


見てください!まるで鏡のようにピッカピカ。一点の曇りもなく見事な光沢。撮影したカメラマンも写り込んでいますね。これを履けば気合も入りますね。箱根神社の湧き水、龍神水のご利益もありそうです!
ビジネスシューズを長く大切に使うためにできること

最後に、大切なビジネスシューズのケアについて渡辺さんに伺いました。
大切な靴、ケアしてベストな状態で長く楽しみたいですね。今回、クリーニングを担当してくださった「shoeshine Chum’s Bar(シューシャイン チャムズバー)」の渡辺さん。ありがとうございました!
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※本記事の内容は、本記事作成時の編集部の調査結果に基づくものです。
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