
気づけば毎日使っている。竹ざるのある台所
竹ざるは、“丁寧な暮らしの人が使う道具”だと思っていました。干し野菜を作る人とか、味噌を手作りする人とか、朝に白湯を飲む人とか。そういう、ちゃんとしている世界の道具だと。でも実際は、かなり違いました。茹でたとうもろこしを置く。 洗ったトマトを転がす。おにぎりを冷ます。 パンを置く。気づけば、なんでも受け止めてくれる。派手ではないけれど、台所にひとつあると妙に便利。今回は、そんな竹ざるの話です。
目次
昔からあるのに、古くならない道具

竹ざるは、日本の台所で長く使われてきた道具です。竹を細く割り、編み上げて作られるシンプルな構造。特別な機能があるわけではありません。それなのに、何十年も前から使われ続け、今もなお現役です。
考えてみると少し不思議です。便利なキッチングッズは次々に登場するのに、竹ざるだけは消えない。それはきっと、日本の気候と相性がいいからだと思います。湿度が高く、食材を乾かしたり冷ましたりする機会が多い日本の暮らしの中で、風を通す竹ざるは理にかなった道具だったのでしょう。
“とりあえず置く”が、うまい道具

ステンレスのボウルやプラスチックの水切りかごも便利です。でも竹ざるには、“途中”を受け止めるうまさがあります。たとえば、
茹で上がった枝豆。熱いまま置いても蒸れにくい。
洗った野菜。水気が自然に抜ける。
パン。ビニール袋より湿気がこもらない。
「保存するほどではないけれど、少し置いておきたい」竹ざるって、その曖昧な時間に強いんです。台所って、実は“途中”だらけなんですよね。
切った野菜をちょっと置く。
粗熱を取る。
洗った器を乾かす。
おにぎりを握って並べる。
そのたびに専用の道具を出すほどではない。でも、直置きはなんとなく嫌。竹ざるは、その“なんとなく”を、かなり自然に引き受けてくれます。
夏の台所と相性がいい

私が特に出番が増えると感じるのは夏です。
枝豆
とうもろこし
そうめん
トマト
きゅうり
竹ざるの上に並べるだけで、なんだか涼しげに見える。でも、それは見た目だけではありません。空気が通るので、水気や熱気がこもりにくいのです。

そうめんを盛れば余分な水分を逃がしてくれるし、茹でたとうもろこしを冷ますのにも向いています。昔の人が使っていた理由は、ちゃんと理にかなっていたから。実際に使ってみると、そのことがよくわかります。
手仕事だからこその表情がある

竹ざるは工業製品ではありません。一つひとつ、人の手で編まれています。だからよく見ると、編み目にも少し個性があります。最初は明るい竹の色をしていますが、使い続けるうちに少しずつ飴色に変わっていきます。新品の頃もきれいだけれど、私は少しくたびれてきた頃の方が好きです。
長く使う道具って、新品の状態が完成形ではないのかもしれません。時間を重ねながら育っていく。そんな感覚があります。
手間があるから、愛着がわく
もちろん、竹ざるは万能ではありません。使ったあとはしっかり乾かした方がいいし、湿ったまま放置するとカビも出ます。食洗機にも入れられません。でも、その少しの手間を面倒だと思ったことはありません。
洗って乾かして、また使う。
その繰り返しの中で道具との距離が近くなっていく気がします。
便利すぎる道具って、ときどき存在を忘れるがち。竹ざるは逆です。電子レンジの横に立てかけてある姿を見るたび、「あ、今日も働いてるな」と思うんです。
暮らしを整えるのではなく、少し気持ちよくする

竹ざるというと、整った暮らしの象徴のように見えるかもしれません。でも実際は、もっと気楽な道具です。暮らしを劇的に変えるわけではありません。けれど、ふと台所を見るたびに少し気分がいい。長く使う道具って、たぶんそういうものなのだと思います。
毎日欠かせないわけではないのに、気づけば手が伸びている。
竹ざるは私にとって、名脇役のような暮らしの道具です。
特集「長く使う、ずっと使う」はこちら!

あわせて読みたい:台所の名脇役。あけびの鍋敷きと暮らす道具の時間
あわせて読みたい:キッチンの必需品「棕櫚たわし」。フライパン・食器、野菜も洗える暮らしの道具
※本記事の内容は、本記事作成時の編集部の調査結果に基づくものです。
※本記事に掲載する一部の画像はイメージです。
※本記事の内容の真実性・確実性・実現可能性等については、ご自身で判断してください。本記事に起因して生じた損失や損害について、編集部は一切責任を負いません。
※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がユアマイスター株式会社に還元されることがあります。

















