
台所の名脇役。あけびの鍋敷きと暮らす道具の時間
鍋敷きは、台所の中でも少し地味な存在かもしれません。熱い鍋やポットを置くための、いわば裏方の道具。とりあえず熱を防げればいい、と考えていた私にとっても、以前はそういう位置づけでした。そんな鍋敷きの見え方を変えてくれたのが、あけびの鍋敷きです。使ってみると扱いやすく、丈夫で、気づけばいつも手に取っている。今回は、あけびという素材のことと、なぜ今も使い続けているのかを、道具としての視点からお話しします。
あけびって、どんな植物?

鍋敷きの素材になっている「あけび」は、山に自生するつる性の植物です。果実は食用として親しまれていますが、つるの部分は昔から籠や生活道具の素材として使われてきました。しなやかで折れにくく、乾くと丈夫になる性質は、編み物にとても向いています。
あけびのつるは、使い始めから完成された素材というより、使ううちに落ち着いていくタイプの植物です。最初はややざらっとした手触りでも、時間とともに馴染み、扱いやすくなっていきます。その変化も含めて、暮らしの中で使われ続けてきた理由なのだと思います。
いちど手に取ると、使い続けたくなる鍋敷きの基本
鍋敷きは、ただ熱を遮るだけの道具ではありません。素材やつくりによって、使い勝手や安心感は大きく変わります。
素材感が生む安心感
あけびのつるを丸く編んだ鍋敷きは、手に取ると想像以上にしっかりしています。編み目に厚みがあり、鍋を置いたときの安定感も十分。置いた瞬間に「大丈夫そうだな」と感じられるのは、自然素材ならではの力だと思います。
土もの、鉄、ガラスなど、どんな素材の器とも自然に馴染むところも気に入っています。主張しすぎず、でも頼りない感じもしない。そのバランスが、日々使う道具としてちょうどいいのです。
サイズ感の心地よさ
あけびの鍋敷きは、ポットや小鍋から、ある程度大きさのある鍋まで対応できるサイズ感があります。軽くて扱いやすく、出し入れのストレスもありません。
使うたびに場所を取らず、必要なときにさっと手に取れる。この気軽さが、結果的に出番の多さにつながっていると感じます。
暮らしの中で育つ、あけびの風合い

道具は、使い続けることでただの「物」から「味」を持つ存在に変わっていきます。あけびの鍋敷きもそのひとつです。
経年変化を楽しむ
使い始めのあけびは、やや明るい色味ですが、使い続けるうちに少しずつ飴色に変わっていきます。ツヤが出て、手触りもやわらかくなる。その変化は急ではありませんが、ふとした瞬間に「育ってきたな」と感じさせてくれます。
傷や色ムラも、使ってきた時間の一部として自然に受け入れられる。新品の状態を保つことより、暮らしに馴染んでいく過程を楽しめるのが、自然素材の良さだと思います。
日々の道具としての頼もしさ
乾きやすく、扱いに気を使いすぎなくていいところも、日常使いに向いています。
熱々の鍋やティーポット、オーブン皿など、台所のさまざまな場面で活躍してくれる。気づけば「鍋敷きはこれでいい」と思える存在になっていました。
鍋敷きとしてだけにとどまらない、日常の道具性

あけびの鍋敷きは、使っていないときの佇まいも魅力です。食卓に置いたままでも違和感がなく、むしろ器との組み合わせで全体の印象を整えてくれます。
しまい込む道具というより、そこにあって自然なもの。出しっぱなしでも生活感が出にくく、必要なときにすぐ使える。その距離感が、毎日の中でちょうどよく感じられます。
特別な機能があるわけではありません。それでも、毎日のように使い、これからも使い続けたいと思えるのは、道具としてのバランスがとてもいいからだと思います。
丈夫で、扱いやすく、流行に左右されない。使いながら育ち、暮らしに馴染んでいく。
台所の名脇役として、これから先の時間も、変わらず台所の中で活躍してくれることでしょう。
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