
リモワ修理、正規と職人どちらを選ぶ?モデル別の注意点とプロが語る修理の本質
旅好きなら一度は憧れるスーツケース、RIMOWA(リモワ)。高い耐久性と美しいデザインで、世界中のトラベラーに支持されています。けれど、どんなに頑丈でも使い続ければ修理は必要になるもの。この記事ではリモワ修理で剃っておくべき情報を、正規修理と町工房の違い、人気モデル別の修理ポイント、そして修理職人・山澤高明さんのリアルな声を交えて解説します。
目次
RIMOWA(リモワ)とは?
「リモワ(RIMOWA)」は、1898年創業のドイツ発の老舗ラゲージブランドです。航空機用アルミ素材をいち早くスーツケースに取り入れたことで知られ、アルミ製の「TOPAS(トパーズ)」シリーズはブランドの象徴的存在。近年はポリカーボネート製の「SALSA(サルサ)」や、アルミ×樹脂のハイブリッド型「LIMBO(リンボ)」など、軽量化と耐久性を両立したモデルも多数展開。機能美とミニマルなデザインは、ビジネスパーソンから旅慣れた個人まで幅広く愛されています。
リモア修理、まず知っておくべき選択肢
リモワのスーツケースは決して安くはありません。だからこそ、簡単に「買い替える」よりも、「修理して長く使いたい」と考える人が多いはず。でも、傷やへこみは、旅の記憶と共に刻まれた“味”として、大切にしたい。
そんなリモワユーザーにとって、修理方法の選択肢を正しく知っておくことは、コストを抑えるだけでなく、愛用品と長くつきあうための知恵と言えるでしょう。
リモワのスーツケースは高耐久とはいえ、キャスターやハンドル、ロックなど可動部の不具合は避けられません。そんなときに選べる修理の方法は、大きく分けて次の3つがあげられます。
正規修理サービス(RIMOWA公式)
リモワが公式に提供する修理サービスで、もっとも「安心感」がある方法です。
利用方法
・直営店へ持ち込み(銀座・表参道・大阪心斎橋など)
・郵送修理:メールまたは電話で依頼し、着払いで発送
・修理完了後は代引きや店頭受取にて対応
メリット
・すべての修理に純正パーツを使用
・5年間保証や生涯保証の範囲内なら無償対応の可能性あり
・デザイン・機能面が購入時と同じレベルに仕上がる
デメリット
・費用が高め(例:キャスター1個4,000円以上)
・パーツ在庫や混雑状況によっては納期が長くなる(1~2ヶ月程度)
・旧モデルや限定モデルは対応できない場合もある
町の修理工房(非正規サービス)
スーツケースやバッグ専門の修理業者に依頼する方法です。山澤工房のように、リモワ修理に精通した職人に頼るのがおすすめ。
利用方法
・直接持ち込み、または宅配での修理受付
・写真での事前見積もりや、修理方針の相談も可能
メリット
・純正にこだわらず、互換部品での実用的な修理が可能
・正規に比べて費用が安価(例:キャスター1個1,500円程度)
・修理内容を相談できる柔軟さ/即日修理も可能な場合あり
・保証期間外や旧モデルにも対応してもらえることが多い
デメリット
・パーツが純正でないため、見た目が若干異なる場合あり
・修理品質は店舗ごとに差がある(信頼できる工房選びが重要)
・保証対象外のため、公式サポート履歴には残らない
空港・ホテルでの簡易修理サービス
急な破損に対応する応急的なサービス。全損は無理でも、最低限“持ち帰れる”状態にすることが目的のサービスです。
利用方法
・空港の修理カウンター(成田、羽田など一部)
・高級ホテルが提携しているリペアサービス(宿泊客限定)
メリット
・旅先でスーツケースが壊れても、その場で対応できる
・修理完了まで待たずに再出発できるケースもある
・一部航空会社では破損証明で補償が受けられることも
デメリット
・応急処置のみで、部品交換や内部修理には非対応
・限定的なサービスのため、対象空港・ホテルが少ない
・デザイン性・耐久性の確保までは期待できない
【職人インタビュー】山澤工房・山澤高明さんが語る「リモワ修理の価値」

リモワの修理方法にはいくつかの選択肢がありますが、「早く・確実に・納得いく形で直したい」という人にとって、とても頼れる存在がいます。それが、株式会社山澤工房の代表・山澤高明さんです。
「かばんの総合病院」として知られる山澤工房は、スーツケースだけでなく、ハンドバッグ、ビジネスバッグ、財布、さらには楽器ケースまで、幅広いジャンルの修理を請け負うプロフェッショナル集団です。30年にわたる経験の中で培った独自の修理技術に加え、今なお新しい素材や工具、方法を研究し、常に「最適な修理」を探求し続けています。
「公式の修理に出すと、たしかに安心感はあります。でも、『すぐに使いたい』というお客様の声に応えきれない場面もあるんです。うちは“使い続ける”ことを第一に考えて、純正じゃなくても適合する部品があれば使う。たとえばキャスターひとつとっても、純正が4,000円、汎用品なら半額以下なんてことも珍しくないんです。直せるものを捨てずに、長く使ってもらいたい。モノが好きな人にとって、傷だって思い出のひとつだからです」
山澤さんによると、スーツケースの修理には非常に多くのパーツや素材、塗料、そして工具が必要になるとのこと。しかもリモワのようなメーカーですら、廃番になった部品や旧モデルのパーツは保管されていないこともしばしば。
そんななか、山澤工房では2万点以上の部品を独自にストック。そこから最適なパーツを見つけ出し、機能と見た目のバランスを見極めながら修理を行っています。
「これがあって助かりましたって、よく言われます。メーカーで断られたものでも、直せることは意外と多いんです」
修理の相談をしてみると、ただ部品を替えるだけでなく、「どう使うのか」「どれくらい急いでいるのか」まで丁寧にヒアリングしてくれるのも、山澤工房の特長。
「リモワを愛用している方は、単なる荷物入れとしてじゃなくて、“相棒”として使っている方が多い。だからこそ、“また使えるようにする”ことが、自分たちの役目だと思っています」
こうして今日もまた、山澤工房には、ひとつとして同じではないリモワが持ち込まれてきます。壊れてしまったリモワに、もう一度、旅を続ける力を。その現場を支えるのが、町の職人の技術力です。
修理か買い替えか?判断の目安
山澤さんによると、職人目線では「すぐに使えなくなる壊れ方は実は少ない」とのこと。症状が軽いうちに修理するのが、コスト面でもおすすめです。以下を参考に判断しましょう。
・ケースが割れていない/内部が健在なら修理価値あり
・キャスターやハンドルの不具合は比較的簡単に直ることが多い
・外装の傷・へこみは見た目に関わるが、機能性に問題がなければそのまま使う人も
修理費用と納期の目安
修理内容 | 正規 | 山澤工房 |
キャスター交換 | 約4,000円~ | 1,500円~/即日も可能 |
ハンドル交換 | 約1万~1.5万円 | 5,000円前後/部品次第 |
内装交換 | 要見積 | 状態により応相談 |
次に、気なる修理費用と納期の目安を見ていきましょう。上記料金はあくまで目安です。モデルや症状により変動します。
リモワ・モデル別に見る、修理しやすさと注意点
リモワには素材・構造の異なるラインナップがあり、修理内容もモデルごとに異なります。代表的な4モデルの特徴と注意点を紹介します。
SALSA(サルサ)
ポリカーボネート製で、軽さと柔軟性が特徴のモデル。

修理のポイント

・キャスターやハンドル周りの修理は比較的スムーズ
・外装のたわみによる「閉まりにくさ」なども相談可能
TOPAS(トパーズ)
アルミ製の重厚なモデル。高級感と耐久性が魅力。

修理のポイント

・ヒンジやロック部品は専用品のため、部品在庫の有無に注意
・アルミ素材特有の“ゆがみ”が出た場合、修正に技術を要する
LUFTHANSA(ルフトハンザ)モデル
ルフトハンザ航空とのコラボによる特別仕様のTOPASベースモデル。

修理のポイント

・シリアル管理が厳密なため、保証・修理履歴の確認が必須
・デザイン保持を重視するなら正規修理がおすすめ
LIMBO(リンボ)

ハイブリッド構造で、ポリカーボネートとアルミのコンビネーションモデル。
修理のポイント

・キャスター・ロック部分の交換は工房でも対応しやすい
・ハイブリッドゆえに、破損箇所によって修理難易度にばらつきがある
自分に合った修理先を選ぶチェックリスト
修理方法や費用、モデルごとの特徴、町工房での対応まで見てきましたが、「結局、自分はどこに修理を頼めばいいの?」と迷う方も多いはず。修理の目的や優先したいポイントは人それぞれ。だからこそ、“自分に合った修理先”を選ぶことが、満足のいくリモワ修理につながります。
こんな人におすすめ | 修理先 |
保証期間内・純正部品希望 | 正規サービス |
急いでる・安く済ませたい | 町工房 |
使い方や思い出を相談しながら修理したい | 職人系の工房 |
リモワは直してこそ「旅の相棒」になる

リモワは、ただの“荷物を運ぶツール”ではありません。旅先で擦れ、ぶつかり、時には空港の手荒な扱いにも耐え抜いたそのスーツケースには、使う人それぞれの「物語」が刻まれています。だからこそ、壊れたからといってすぐに手放してしまうのは、どこかもったいない。むしろ、壊れたときこそ、そのスーツケースとの関係が“本物”になる瞬間なのかもしれません。
「修理する」という行為には、手間もお金もかかります。けれど、それを超えてもなお、「また使いたい」と思わせてくれるのが、リモワというブランドの強さであり、魅力。正規サービスに加えて、山澤工房のような信頼できる修理工房も選べる今の時代。古くなったモデルや、メーカーでは断られたパーツも、職人の手によって蘇る可能性があります。それは、サステナブルな視点としても、愛着という感情面からも、とても価値のあることです。
次の旅に出るとき、持っていくスーツケースは、新品でピカピカのものではなく、「直してでも一緒にいたい」と思える相棒であってほしい—。そんな想いを込めて、あなたのリモワにも、もう一度新しい命を吹き込んでみませんか?
※本記事の内容は、本記事作成時の編集部の調査結果に基づくものです。
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