
見えにくくなった日から、おしゃれがもう一度始まった。CHANELのリーディンググラスと過ごす毎日
年齢を重ねると、増えていくものがあります。白髪。美容液。そして、新聞やメニューを腕いっぱい遠ざけて読むあの動き。でも、不思議なことに「見えにくくなった」は、私の中ではあまり大きな出来事ではありませんでした。
仕事が変わること。親が年を取ること。子どもが巣立つこと。それに比べたら、文字が少しぼやけるくらい、ずいぶんかわいい。ただ一つ困ったのは、おしゃれのテンションまで少し下がってしまうことでした。眼鏡をかけたり外したり。バッグの中を探したり。「あとで見ればいいか」と、好きだった美術館のキャプションを飛ばしたり。そんな小さな「まあ、いいか」が増えていったのです。だから私は、思い切って一本の眼鏡を作りました。CHANELのフレームで。
目次
毎日かけるものだから、「好き」で選びたかった

眼鏡は、アクセサリーとは少し違います。ネックレスなら、その日の気分で外せます。バッグも、靴も、服も替えられます。でも眼鏡は、一日中、顔の真ん中にいます。鏡を見るたび目が合う相手です。
少し前まで、「見えにくいな」と感じても、腕を伸ばしたり、照明を明るくしたりして、なんとかやり過ごしていました。でも、ある日ふと思ったんです。
「これは、私が頑張る問題じゃない」
見えにくくなったことを認めるのは、少しだけ勇気がいりました。「老眼鏡」という言葉には、どこか年齢を突きつけられるような響きがあります。けれど、これから毎日使うものになるのなら、妥協して選ぶ理由もありません。だから今回は、「よく見える」だけでは物足りませんでした。
軽いこと、疲れにくいことはもちろん大切。でも、それと同じくらい、鏡を見るたび少しうれしいことも大切にしたかったのです。
CHANELを選んだのは、背伸びではなく日常のため

実は、最初からCHANELに決めていたわけではありません。専門店でいくつものフレームを試しました。細いもの。丸いもの。流行のデザイン。似合うと思っていたのに、かけてみると「何だか私じゃない」というものもありました。
眼鏡は不思議です。洋服なら「今日はこの気分」で着替えられるのに、眼鏡は少しでも違和感があると、一日中その違和感を連れて歩くことになります。その中で、CHANELのフレームをかけたときだけ、鏡の中の自分が自然に笑っていました。ブランド名より先に、「これなら毎日かけたい」と思えた。決め手は、それだけでした。

メガネそのものはもちろんですが、実は私が気に入っているのはケースです。シャネルのバッグを思わせるダイヤ型のキルティングに、小さなココマーク。バッグほど目立つものではないのに、バッグと同じように手に取るたび少しだけ気分が上がります。
飛行機のシートポケットから取り出すときも、カフェでバッグから取り出すときも、「ああ、やっぱり好きだな」と思う。毎日使うものだからこそ、そんな小さな高揚感は案外大きいのです。
朝、眼鏡をかける。それだけで一日が始まる
最近の朝は、まずコーヒーをいれて、新聞を開きます。以前なら、小さな文字に眉間へしわを寄せていました。でも今は、眼鏡をかけるだけ。
仕事では、取材メモを見返し、パソコンへ向かう。カフェでは、本を一冊読む。スーパーでは、原材料表示までちゃんと読める。こんな何気ないことが、思っていた以上に快適です。「見える」ことは、目だけではなく、気持ちまで軽くしてくれるのだと知りました。
旅へ出ても、「いつもの私」でいられる

旅へ出ると、小さな文字はさらに増えます。美術館のキャプション。レストランのメニュー。駅の案内表示。
以前は眼鏡をバッグから出したりしまったりしていましたが、今はその一本で遠くも近くも見えるので、歩くリズムが途切れません。
旅先では、知らないことばかりです。だからこそ、自分の身につけるものだけは「いつもどおり」でいたい。この眼鏡は、そんな安心感も一緒に運んでくれます。
実は、遠近両用です

「その眼鏡、素敵ですね」
そう言われることはあります。でも、「遠近両用なんですよ」と答えると、少し驚かれます。遠近両用という言葉には、どこか”年齢”のイメージがつきまといます。でも実際に使ってみると、その印象はあっさり覆されました。
遠くを見るたびに掛け替えなくていい。
近くを見るたびに探さなくていい。
見たいものを、見たいときに見られる。
こんなに快適なものを、「まだ早い」で先延ばしにしていた自分が少しもったいなく思えました。
遠近両用は、老化への降参ではありません。これからも、旅先で美術館を楽しみ、本を読み、仕事を続けるための道具です。未来の自分を、少しだけ楽にしてくれる相棒でした。
年齢を重ねると、「隠す」より「好き」が強くなる

ちょっと前の私は、欠点を隠そうとしていました。
白髪を隠す。
シミを隠す。
年齢を隠す。
でも最近は、少し変わりました。全部は隠せない。だったら、好きなものを増やそう。そう考えたほうが、毎日がずっと楽しい。
CHANELのフレームは、年齢を若く見せてくれる魔法ではありません。でも、鏡を見るたび少し気分がいい。取材へ向かう朝も、旅へ出る朝も、「今日の私、悪くない」と思える。それだけで十分です。
おしゃれは、年齢と一緒に終わるものじゃない

見えにくくなった日から、おしゃれは終わると思っていました。でも実際は逆でした。眼鏡を選ぶ楽しさを知り、顔まわりのおしゃれを考えるようになり、「毎日かけたい」と思える一本に出会えた。
おしゃれは、若さの特権ではありません。暮らしを楽しもうとする気持ちのことなのだと思います。
だから今日も、この眼鏡をかけます。文字を読むためだけではなく、鏡の中の自分に「いいじゃない」と言うために。見えにくくなった日から、私のおしゃれは、再び始まりました。
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