
なんやかんや、最後は信頼できる。パリで買ったルイ・ヴィトンの財布を使い続ける理由
買い物も電車も、スマートフォンひとつで済む時代。財布を取り出す機会は、以前よりずっと減りました。それでも私のバッグには、約10年前にパリで買ったルイ・ヴィトンの二つ折り財布が入っています。ほかの財布を試した時期もありましたが、結局これに戻ってきました。好きな理由を一言でいうなら、「なんやかんや、信頼できる」。毎日持ち歩くものだからこそ感じる、そのよさについてお話しします。
パリで買った、バッグとおそろいの財布

この財布は、パリのルイヴィトン本店でバッグと一緒に買いました。深い紺色の革に、モノグラムの型押し。縁には赤がすっと走っています。「マリーヌルージュ」という色の組み合わせです。
バッグと財布をおそろいにするなんて、ずいぶん気合いが入っていると思われるかもしれません。実際、少し浮かれていたのでしょう。パリにいたのですから、そのくらいは許してほしい。旅先では財布のひもが緩むと言いますが、私はそのひもを留める財布そのものを買ってしまいました。
ただ、帰国して旅の高揚が冷めたあとも、買い物を後悔することはありませんでした。バッグは服や行き先によって持ち替えても、財布は日々の用事についてきます。スーパーにも、仕事にも、旅にも。パリの思い出の品だったものが、いつの間にか、ごく普通の暮らしの道具になっていました。
小さいのに、小銭とちゃんと付き合える

二つ折りなので、バッグの中で場所を取りすぎません。身軽に出かけたいとき、小さなバッグを持ちたいときにも、この大きさがちょうどいいのです。
そして、私にとって大事なのが、小銭の取り出しやすさです。
キャッシュレス化が進み、「財布はもう要らないかも」と思うことはあります。でも、現金を持たずに出かけた日に限って、現金が必要になる。ふだんは静かな財布の出番が、こちらの油断を見計らったようにやってきます。
コンパクトな財布には、収納力と引き換えに、会計時の動きが窮屈なものもあります。欲しい硬貨がなかなかつかめず、後ろに人が並ぶほど指先が言うことを聞かなくなる。あの数秒は、実際の時間よりずっと長い。
この財布は小さくても、小銭を取り出しやすい。「使いやすい」と言ってしまえば簡単ですが、会計のたびに感じる小さなストレスが少ないことは、毎日使う道具にとって大きな長所です。
いろいろなお財布を使ってきたから、わかること

自分で財布を持つようになってから、ずいぶんいろいろなものを使ってきました。ブランド品も、ノンブランドのものも。長財布を選んだこともあれば、二つ折りにしたこともあります。
長財布には、中身を見渡しやすいよさがありました。小さな財布には、身軽に出かけられるよさがある。値段が高ければ必ず使いやすいわけでも、手頃だから長持ちしないわけでもありません。財布は毎日使って初めて、自分との相性がわかるものだと思います。
そんなふうにあれこれ使ってきて、約10年前にパリで買ったのが、この財布です。それからはずっと使い続けています。
開いて、お金やカードを取り出して、閉じる。その一連の動きが自然にできる。毎日使うもののよさは、手にするたびに感動することではなく、使っている間に余計なことを考えなくて済むことなのかもしれません。
革には、10年使ったなりの表情も出ています。新品のような姿ではありませんが、私は今の財布も気に入っています。華やかな名前より、日々の会計にきちんと付き合ってくれること。いろいろな財布を使ってきたからこそ、私にとっての「信頼できる」が、そこにあるとわかるのです。
「傷んだら相談できる」安心感もある

財布は毎日、手で触れるもの。どんなに大切にしていても、いつかは傷みます。ルイ・ヴィトンでは財布などの小物もリペアの相談を受け付けており、スナップボタンの交換や縫い直し、縁の塗り直しなどに対応しています。修理の可否や金額は、製品の状態を確認したうえで決まります。
私はまだこの財布を修理に出したことはありませんが、必要になったときに相談先があるのは心強いことです。
長く使うために、私が意識したいのは、財布を何でも入る小さな収納庫にしないこと。もう使わないカードやレシートまで詰め込めば、どんな財布も閉じにくくなります。中身をときどき見直し、傷みが気になったら早めに相談する。特別な儀式ではなく、道具を使い続けるための普通の手入れです。
キャッシュレスの時代、財布の出番はこれからも減っていくかもしれません。それでも、出番が少ないことと、どうでもいいことは違います。
パリで買ったおそろいのバッグを持つ日も、近所へ買い物に行く日も、この財布は変わらず私についてきます。華やかな旅の記念品が、なんでもない日の頼れる道具になった。いろいろ試したうえで、結局ここに戻ってくる。私にとって「長く使う」とは、そういうことなのだと思います。
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